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複視リハビリ ~最前線~

2/27、複視のリハビリの第一人者の先生をお招きし、当クリニックにて勉強会を開催致しました。複視が起こる機序から始まり、実際の訓練、そして今後の展望までと、内容満載の勉強会でした。

そこで提供された、複視のリハビリの最前線の内容を含め、今回はお知らせいたします!

複視について

どのぐらいの割合で起こるのでしょうか?

脳損傷後の37%に何らかの眼球偏位を呈することが、先行研究にて報告されています(fowler MS et al, 1996)。

複視への介入は、脳損傷後6ヶ月は身体の麻痺と同様に、回復が期待されるため経過を追う必要があります。ただし、6か月が過ぎても、回復しなくなるとは言えず、失語症のように時間をかけて気長に関わっていくことも大切なようです。

複視の予後を見極める、ポイント

脳画像にて病気の場所(脳の損傷部位)が分かると、複視の予後が予測できることが分かってきているそうです。予後予測を行うためにも、MRIで病気の場所を知っておくことは、非常に重要になります。

複視リハビリ

複視が生活にどのような影響を与えるか、の評価方法

複視による生活の不自由度評価は、通常リハビリ場面で使う、B.I.やFIMなどではなかなか評価できません。複視での困りごとは、入院生活場面では目立たず、社会生活場面で顕著となるためです。視覚に関係した日常生活がどの程度できるかを評価できるバッテリーとして、Visual Function Indexを使用(私も実際に使用しています)すると、改善度合いが評価しやすく、わかりやすくなります。

脳損傷者における外眼筋麻痺スケール

勉強会の講師の先生が、脳損傷者における外眼筋麻痺スケールを開発され、今論文申請を行っている、というお話もありました!実際どのようなスケールかも提示してくださいましたが、臨床場面で使いやすいものでしたので、今後そのスケールを使って外眼筋麻痺の改善の評価を定量的に行えるようになると思います。治療者にとっても、患者さまにとっても、変化が分かりやすくなりますね。

複視のリハビリ方法

眼球運動練習はもちろんですが、後頭下筋や眼輪筋へのマイルドなリラクゼーション、麻痺眼の積極的な使用、促通反復療法などが効果的です。個人個人で病気の場所も症状も違うため、個々に合わせたプログラムを作っていくことにはなります。

大切なことは、めまいや不快感の程度に合わせて行うこと、筋短縮・弛緩と脳ネットワークの廃用予防を行っていくこと、目標をもってモチベーションを維持していくことも重要なことです。

今後の展望

複視に対するリハビリを積極的に行っているところは少なく、適切な治療をうけられない患者さまが多く存在している現状がある、と講師の先生もお話されていました。

「複視はリハビリないから」と言われてしまうことも多いようです。

実際、入院中は身体のことばかり気になってしまいますし、入院生活は積極的に”みる”ということをしなくても困らない生活なのです。

ただし、実際の自宅での生活場面で困ることは多く、退院後の生活について長い目でみて考えると、早期に積極的に介入を検討することをお勧めいたします。

まとめ

当院では、外来にて複視のリハビリに取り組んでいます。今回の勉強会も、最新の情報もあり、非常にフランクな先生と臨床の相談もできて、有意義な時間でした。日々、私たちスタッフも勉強を行いながら、眼の症状に苦しむ多くの患者さまの希望になれれば、と考えています。